こぎん刺しの森 制作|針の森(狩野綾子) 文・写真|稲垣早苗

梅の花と竹の節

「梅の花」と「竹の節」というモドコは、今までご紹介してきた津軽こぎん刺しのパターンである奇数目で刺し進めるものとは異なります。偶数目を拾って刺し進める南部菱刺しにも出てくるモドコです。

「梅の花」はとても愛らしいモドコですが、この写真の黄色い「とおかんやポーチ」のように、菱形の中に入れると「ザ・こぎん」という力強い感じがしてくるのが不思議です。また、この連続模様にすると、隣どうしで別の模様(花コ4つの集まり)が、浮き上がってきて、面白くなります。「梅の花」のモドコは、少し変化させると星の形や雪の結晶のようにも見えますので、ぜひ、図案を描いて、こぎんの世界を広げてみてください。

梅の花のポーチ

津軽こぎん刺しには、ひとつのモドコが多様に変化していったものがあります。「竹の節」は、特にそれが多いものです。このモドコは、メインとして刺すのではなく、文様の上下や途中に入れることで、縞模様のように使われることが多いものです。さまざまなモドコを綴る間のひと呼吸のような、そう、まさに節のようなモドコと言えるかもしれません。

段数を重ねるとたしかに竹に見えてきますが、少しずらして刺したりしても楽しいモドコです。単純なようで、いろいろ変化を楽しめるのです。こちらもぜひ図案を描いて遊んでみることをお薦めします。

竹の節のポーチ

ここで津軽こぎん刺しと南部菱ざしのことを、少しお伝えいたしましょう。青森県には津軽地方と南部地方があって、それぞれの地で刺されるものを、津軽こぎん刺しと南部菱ざしと呼んでいます。大きな違いは、刺し目が奇数か偶数であることで、ひし形がこぎん刺しは縦長、菱刺しは横長になっています。

津軽と南部はそれぞれに郷土愛が強いそうで、狩野綾子さんも、こぎん刺しを始めた頃は、「津軽こぎんを刺しているのだから」と、かたくなに奇数目のものを刺していたそうです。

けれど、いろいろ調べてみると、かなり似たものや両方に登場するモドコもあることを知って、その中には、好きな文様もたくさんあったそうです。

弘前に生まれ育った狩野さんの刺すものは津軽こぎんですが、先人達がひとつのモドコから無数に変化させていったように、ますます柔軟に刺し綴っていかれることでしょう。

青と白のコースター

さあ、皆さんも梅の花と竹の節を綴ってみませんか?

そして、梅の花と竹の節を用いた作品が出来上がりましたら、光の本編集部までご一報ください。

作品の画像などを光の本の中、更新帖でご紹介しています。

こちらで、まずメッセージをお寄せ下さい。

こぎん刺しの森も5回を綴ったところで、ひと休みします。

来年からは、モドコを柱にしたお話しの他に、インテリアや、身にまとうものの楽しい提案もしたいと思います。

それまでの間、皆さんからの作品写真のご投稿を楽しみにお待ちしています。

編集部あてにご連絡をお願いします。

では、こぎん刺しの森、来年からは、いっそう深々と森林浴をしていただけますように。

狩野綾子

青森県弘前市に生まれる。
結婚ののち、東京、千葉など関東に暮らす。
パッチワークを主に、針仕事に熱中する。
2000年より工芸ギャラリーに勤務し、同時に制作を「こぎん刺し」に集中する。
2006年より工房名を「針の森」として、作品発表を始める。
現在は秋田県に在住。