こぎん刺しの森 制作|針の森(狩野綾子) 文・写真|稲垣早苗

Vol.3 テコナとダンブリ

蝶々にトンボ。
身近な生き物に寄せた名前のモドコに、テコナとダンブリがあります。
テコナは、モドコとしてとても好まれていて、ワンポイントでも愛らしいモドコのために、
津軽みやげのこぎん刺しによく使われています。
一方、ダンブリの方はあまり知られていないでしょうか。
濃淡のコントラストが強い布と糸で刺すとトンボの羽がきわだって、美しいモドコです。

十日夜(とおかんや)ポーチ

十日夜ポーチ(テコナ) テコナ
十日夜ポーチ(ダンブリ) ダンブリ

今回の「十日夜ポーチ」のテコナとダンブリは、市松と合わせて、モドコを目立たせてみました。
生成りの「十日夜ポーチ」は、テコナのモドコを変化させたもので、
一見テコナとは判らないかもしれません。

子供のころには、弘前の街中にこぎんの加工所があったのよ、と綾子さんは言います。
お話を聞けばなんだか素敵ですが、弘前中の人々が布に刺したこぎんを持ち込んでは、バッグやお財布に加工してもらったために、記憶の中のこぎん刺しは、どれも同じような形のバッグやお財布ばかり。
そんなこともあって、自身で制作をするようになった今、かたちをどんなものにしようかというのが、
楽しい悩みとなっているそうです。
こぎんが加飾の文様だけでなく、その特性である保温、補強を活かした必然の文様になるように。
そんなかたちを心に描いて、「針の森」のこぎんは刺されています。

こぎん帖 テコナ変化

こぎん帖 ダンブリ連続

糸まき(テコナとマメコ変化)

こぎんをまとう。
これも「針の森」の目指す姿のひとつです。
いかにも民芸調のこぎんではなく、今の衣服として素敵なものを。
そんな想いから生まれたのが、このペチコートです。

ペチコート(ダンブリ)

ペチコート(雪の結晶をイメージした創作)

発想は、レースから。
こぎんを連続に刺すことで、レースのように使えるのではというのがきっかけです。
レースのような透け感があるようにと、目の粗い麻に刺して、
糸の引き具合、糸の継ぎ目を丁寧にと心がけて作られたペチコートです。
ちらりとスカートの下からこぎんをのぞかせてみたり、レギンスと合わせてオーバースカートとしてはいてみたり。
お手入れは、ネットに入れて洗濯機でどうぞ。
時とともに、こぎん刺しが麻布と馴染んで一枚の織り布のような風合いになっていく。
そんな姿を見守るのも、こぎんの楽しみだと思います。

さて、皆さんもテコナとダンブリを綴ってみませんか?
そして、テコナとダンブリを用いた作品が出来上がりましたら、光の本編集部までご一報ください。
作品の画像などを光の本の中、更新帖でご紹介しています。
こちら(http://hinata-note.com/hikari/mail/postmail.html)で、まずメッセージをお寄せ下さい。
さあ、次回は、フクベ(ひょうたん)とクルビカラ(クルミの殻)を綴りましょう。

狩野綾子

青森県弘前市に生まれる。
結婚ののち、東京、千葉など関東に暮らす。
パッチワークを主に、針仕事に熱中する。
2000年より工芸ギャラリーに勤務し、同時に制作を「こぎん刺し」に集中する。
2006年より工房名を「針の森」として、作品発表を始める。
現在は秋田県に在住。